料理を引き立てる、稲吉善光さんの器

10月19日(土)より、茨城県笠間市で作陶されている稲吉善光さんの作品展が始まりました。
土味をいかした稲吉さんの器。鉄釉、山砂釉、薄墨手と独特の質感や色味、大らかな表情が印象的です。

重ね焼きした器は、焼き上がった後ゴツゴツとした部分が残るそうで、普段使いできる器にするために一つひとつ手でヤスリにかけるそうです。そう言って広げて見せてくれた稲吉さんの指は、指紋が無くなりツルっとしていました。それを見ると、日頃の仕事風景が頭に浮かび、丹精込めて作られた器にその温かみが映し出されているようだと感じました。

▲<片口鉢>
ドレッシングや山芋のとろろを入れたり、おでんやうどん、サラダや煮物まで多用に使える片口の器。注ぎ口があるので酒器や花器としても色々な場面に。
「山砂釉や薄墨手のものに蒸かした紅芋を盛ると、黒と紫のコントラストがすごく綺麗だった。」と稲吉さんが教えてくれました。

▲<薄墨手六寸高杯>
高台があり、盛りつけた食材を立体的に見せます。お刺身やぶり大根、野菜のお浸しなどの一品料理もぐっと引き立ちます。

▲<山砂釉八寸皿>
この器に使われている土は、愛知県の瓦屋さんから取り寄せたものだそう。
パスタやカレー、ハンバーグやフルーツ、大皿料理にも使いやすい大きさです。目玉焼き、キャベツの千切り、ウインナーなどを盛った朝食のプレートに使いたいと思いました。リムに立ち上がりがあるので、汁気のある料理にも。

▲<朱彩ボウル>
外側は赤土や錆びた金属を思わせる質感と色合い。内側は鉄釉と同じ釉薬を使っているそうですが、焼き上げのタイミングなどにより鉄釉の器とは異なった個性を放ちます。
ご飯や汁物、小鉢や取鉢などに。

▲<マグカップ>
取っ手の形と指や手が一体化するように馴染み、とても持ちやすいマグカップです。鉄釉、黒釉、内側が白い掛け分けの3種類。鉄釉と黒釉のものはたっぷりとした大きさ、掛け分けは程よい大きさです。

食材との対比が美しい稲吉さんの器。器単体としても見入ってしまうような奥深さを感じますが、料理を盛り付ける度に、器の大きな魅力を発見するようです。

わっと感動するような組み合わせを発見していただきたいです。

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稲吉 善光 展
2019.10.19(土) - 28(月)