「田村文宏展」2023.1.21(土)-30(月)

二子玉川では1月21日(土)より、田村文宏展を開催しています。
初日には4年ぶりに田村さんも一日在廊してくださいました。

愛知県岡崎市で陶磁器の作品を作られる田村さん。
土のもつ魅力を引き出しながら、安南、緑釉、白磁、白瓷など様々な技法で表現されます。
田村さんの作品は、器そのものの美しさはさる事ながら、取り合わせや料理を思い浮かべながら器を選ぶ楽しさがたくさん詰まっています。

過去には愛知県の瀬戸で陶芸を学ばれた後にホンジュラス共和国やカンボジアで陶芸の指導・制作も行われていた経験もあり、国外の工芸と日本の焼きものを同じ目線から見てきたと言う田村さん。
中国やベトナムなど古いアジアの焼きものから着想を得ながら、長く受け継がれる日本の焼きものの良さを現代に伝えてられています。

元々焼きものの盛んである場所で制作をされていることもあり、山や窯のあった場所を訪れ、自ら土を採取することもあり、調合された土によって焼き上がりの雰囲気がそれぞれ異なるのも作品の魅力のひとつです。

今回田村さんが最も気に入られているという、愛知県渥美半島で取れる土を使い薪窯で焼成された作品。
灰や炎が力強く表れた花入れや蓮弁皿、どちらも土の表情をしっかりと感じていただけます。

△渥美蓮弁皿

△渥美花入れ

愛知県で取れる白い土を焼き締めた「白瓷(しらし)」、こちらも薪窯で焼成されています。
灰釉が中と外に掛けられた輪花鉢はゆったりと流れる釉薬が美しい作品です。


△灰釉白瓷輪花鉢

白磁の器にはベトナムの土を使われたものも。
日本の土より粘り気が強く成形しずらいそうですが、柔らかな白色で
食卓にすっと馴染んでくれます。

△白磁平皿

△白磁輪花皿

薪窯とガス窯を作品ごとに使い分ける田村さん。
それぞれの焼成方法によっても異なる魅力が表現されています。
牡丹の絵を描いた石膏に土を押し付けて型を取る印花皿。
青磁はガス窯で、木瓜皿は薪窯で焼成されています。
同じ牡丹でも青磁は艶のある高貴な仕上がりに。
木瓜皿は灰のかかり方によって牡丹の柄の浮き出る表情が異なり、優しい風合いです。

△青磁印花皿

△白磁印花木瓜皿

ベトナムの古い焼き物を元に作られた安南。
絵柄の印判を用いてツバメや蝶、草木などを施した後、絵付けをされています。
窯に入れた際の位置によって火の当たり方が異なるので絵付けの流れや、質感など様々な表情が見てとれます。


高台裏には「チョコレートボトム」と呼ばれる鉄釉が塗られ、ベトナムに古くから伝わる器を細かく再現されています。
柔らかな絵付けの器がきゅっと引き締まってみえます。


今回の展示に向けて作られたという狛犬。
縦横13cmと写真では伝わらない迫力があります。
個展をする際に数回作られているそうで今回は鉄釉を使ったかっこいい狛犬に。
中国の古い獅子に近い顔で、堂々とした立ち姿はそこにあるだけで邪気を払ってくれそうな雰囲気があります。

△狛犬(阿吽)

70歳まで作品を作り続けたいと語る田村さん。
学校を卒業されてからちょうど20年が経ち、作家人生の半ばを迎える今、
土へのこだわりなど以前お会いした時よりも更に深く作品と向き合ってらっしゃるように感じられます。
可能な限り手を加えすぎず作品を作りたいと語る姿に、これから生まれる作品がどのように変化していくのか楽しみです。

会期は30(月)まで。
焼きものの辿ってきた道を遡るようでありながらも時間や場所を飛び越え現代の私たちの生活にも寄り添う田村さんの器。
いま田村さんの作る作品をどうぞお楽しみください。

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その多彩な表現から展示のたびに新たな一面を見せてくれる田村さん。
原点であるアジアの焼きものから、時間や場所を飛び越え食卓へと自由に広がっていきます。
一品の料理を引き立てる銘々の器から、土や釉薬の表情豊かな一点ものの作品まで、使い心地の良い色、形の作品が様々並びます。
二年ぶりの二子玉川の作品展、今回も田村さんの新たな一面と出合いにどうぞお越しください。

田村文宏展
2023.1.21(土)-30(月)
11:00-19:00
KOHORO二子玉川

作家在廊日:21(土)