6月4日(土)より二子玉川では大和田友香 南裕基展を開催しています。
今まで大和田さんのポットや南さんの拭き漆のカトラリーはご紹介しましたが二子玉川での作品展は今回が初めてです。
拭き漆の黒にくっきり映えるマットな白。
明るいサクラの木に柔らかく調和する薄いグリーン。
個性のあるトチの木目と濃淡のある色合いのグラデーション。
陶器作家の大和田さんと、木工作家の南さん、お二人の作品が重なり合う景色が店内に広がりました。
茨城出身で笠間の学校で陶芸を学んだという大和田さん。
今も茨城で制作をされている大和田さんの作品は、愛らしいふっくらとした丸みや凛とした輪郭など洗練された形が目を惹きます。
自分が作品を手に取ったときに納得のいく形を求めて、全体的なふくらみや重心、口の開き方など試行錯誤しながら製作をされているそう。
大和田さんの急須やポットは見た目の美しさはもちろん、注ぎのキレがとても良くキュッと上がった持ち手の角度も手によく馴染み使いやすさにもこだわりが感じられます。
△三角鉢 月下 / 平皿 白縹 / 平皿 薄桜
一目見ただけで心ときめくような色合いも大和田さんの魅力です。
大和田さん曰く形が淡泊になりやすいので色味を工夫しているのだとか。
色々な色を調合し気に入った色味ができると、それに近い日本の伝統色を名前につけているそうです。
内側に流れる濃淡のある釉薬とところどころに光るきらめき、反対に縁の部分に白を残すことで重くなりすぎずすっきりとした印象に。
この絶妙なバランスは大和田さんが計算しつくした黄金比だなあと見惚れてしまいました。
学生の頃に模索し出来上がった作品だというピッチャーは、どっしりと丸みのあるフォルムでありながら、力強い持ち手と角度にこだわったという口の部分も印象深い作品です。
大和田さんの作品は形、色味に加えて触れた時のしっとりとした感触もとても心地よいのです。
こちらのリム皿は落ち着いた色と平らな形が上に乗せるものを選ばす毎日の器として活躍します。
今回はたくさんの花器も届けてくださいました。
釉薬や形も様々ですがどの作品も上品な雰囲気があり、大和田さんの柔らかさやしなやかさが感じられます。
とてもにこやかでおっとりとした大和田さんですが、ひとたび制作を始めると没頭して他のことが手に付かないほどのめり込んでしまうのだとか。
お話をするなかで、自分が表現したいものが形になるまで妥協をせずとことん追求されていることがひしひしと伝わってきました。
今後は土ものの器や中国茶の道具などにも挑戦してみたいという大和田さん。
どんな作品が生まれるのかとても楽しみです。
愛知で制作をされている木工作家の南さん。
出身は京都で愛知の工房で木工を学び独立されました。
中国茶に興味を持たれるようになってから茶道具を作るようになったという南さん。
こちらの隅切盆も茶器を乗せて使うイメージで作られたものです。
お客さまからは前菜の盛り付けやおつまみをちょっとずつ乗せたいという声もありました。
以前はどんな方でも使いやすいものをと、シンプルな丸いトレイや皿などを作っていた時期もあったそうですが、次第に自分がかっこ良いと思えるかたちを追求し作品に取り組まれるようになったのだとか。
自分の中ではお茶の時に使うものと思って作っていても、皆さんが色々な使い方を考えて可能性を広げてくれるのがおもしろいと嬉しそうにおっしゃっていました。
市場などに赴きそのときにご自身の目で見てぐっとくる木を選ぶ南さん。
今回の展示では、定番の桜の他、トチ、セン、黒柿の木材を使ってくださいました。
入隅盆はトチの木でできています。黒く見える線の正体は菌でスポルテッドと言われるもので自然が生み出した表情に引き込まれそうです。
半分黒くなっているのが黒柿で作られたものです。
実際に切って中を見てみないとわからない貴重な木材なのだとか。
拭き漆の台皿もトチの木で作られています。桜に比べて手に持ったとき軽やかなのだそう。
料亭の方からの注文で作られたという台皿は、お盆としてだけではなく、料理を盛ったり花器などを飾ったりと自由な発想で楽しめます。
拭き漆で仕上げられているので、染み込みなども気にせずお使いいただけます。
汚れは柔らかいスポンジに中性洗剤を付けて洗い、早めに水気を拭いてお使いください。使い込むうちに味わい深く育っていく姿をお楽しみいただけます。
いつもは蜜蝋で仕上げるというカトラリーですが、今回は初めてキヌカという糠を仕上げに使われたそうです。匂いもあまりなく納得のいく出来だったのでまた次回以降も使ってみようかなと南さん。
口に入れるものなので安心できる素材を探し選ぶ南さんの優しさが詰まっているように感じました。
稜花盆や隅切り盆など少しずつ形が異なる南さんの作品。
作りたい形がたくさんあるためどんどん種類も増えてしまうのだとか。
作品の話をしている時の南さんの生き生きといた表情がとても印象的でした。
今挑戦してみたい形もあるそうでお披露目のときが楽しみです。
大和田さんと南さんの二人展は前回の淀屋橋での展示に続き2回目でしたが、初日にお二人揃って初めての在廊となりました。
自分が作りたいと思うものを強い意思を持って製作に取り組み表現されている大和田さんと南さん。
異なる素材を扱うお二人ですが、日々のもの作りに取り組む中でぶつかる課題や疑問などについても共感されながら和やかにお話もはずんでいる姿が印象的でした。
洗練されたデザインや細部までこだわり抜く姿に共通点があるお二人の作品が重なり合った空間はとても心地の良い雰囲気です。
陶器と木工、素材は違えど組み合わせの楽しさや新たな可能性を見つけられるような展示となっています。
14日(火)までみなさんのご来店お待ちしております。
大和田友香 南裕基展
作家在廊日:4(土)
2022.6.4(土)-14(火)
KOHORO二子玉川
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

陶器の大和田さんと木工の南さんの作品展、今年は二子玉川のお店で開催となります。 やわらかな色合いやなめらかさを持った大和田さんの作品と、オイルや漆・鉄焙煎など多彩な技法で木を美しく変化させる南さんの作品。 お二人の作品が重なり合う景色をどうぞご覧ください。
大和田友香 南裕基展
作家在廊日:4(土)
2022.6.4(土)-14(火)
KOHORO二子玉川