12月2日(土)より、淀屋橋・オンラインショップにて「コホロと秋田」を開催しています。
秋田に纏わる作品展を行うのは、今回が初めてです。
秋田県は、風土や気候に生きる伝統文化の宝庫。
歴史のある文化は、今も大切に守られ、伝え、受け継がれています。
そんな秋田の作り手が揃う作品展をしたいと思い、たくさんのご縁をいただいて、今回ガラスや金工、陶器や樺細工、曲げわっぱやこけし、イタヤ細工や籠など秋田で活動されている作り手の方々が一同に揃う作品展を開催することができました。
秋田の手仕事が店内いっぱいに並んだ空間は、賑やかで秋田の風を感じるようなあたたかな空間となりました。
秋田県湯沢市で50年以上木地山系こけしを取り扱う、阿部始こけし店さんのこけし。
雪国で生まれるこけしは、一筆一筆丁寧に描かれています。
作り手によっても、顔の表情や筆使いも異なり、ペンを入れることができるこけしや帽子をかぶったこけしなど、種類も様々。
やさしく佇む姿が愛らしく「めんこい」がぎゅっと詰まっています。
秋田市にて、秋田にもっとガラス文化を広げたいという思いから、キルンワークという技法でガラスの器やアクセサリーを制作されている硝子工房窯硝 鎌田祥子さん。
じっくりと作品に向き合える、曲線的なもの作りができるキルンワークに魅了されたと話す鎌田さんの作品は、電気釜を使い、時間をかけて一つひとつ丁寧に作られています。
ガラスの中に金属片を閉じ込め、化学反応で表れる絶妙な色合いや模様がとても穏やか。
作りたいものが次々に出てくると楽し気に話される鎌田さんは、そのお気持ちが作品にも映し出されているように感じます。
いはい(いわい)は、おせちなどこれからの季節にも活躍してくれそう。
写真のようにくぼみに合わせて、4枚組み合わせて使うこともできます。
秋田の地形をイメージして作られた箸置きなども。
能代市にて、約65種類のナッツやドライフルーツ、チョコレートなど製造、販売されている木能実(きのみ)さん。
ご近所で採れた柿や農家さんのりんご、いぶりがっこなど、秋田で育つ食べ物も使い、農家さんとお客様を繋げる懸け橋のような存在でありたいと活動されています。
秋田杉の燻製がっこナッツは、いぶりがっこを生産されている方から、作る時に出てしまう端切れをどうにかしたいという悩みを、木能実さんが新たなものへと生まれ変わらせたもの。
秋田杉のチップで燻製することで、香り豊かな味わい深さが楽しめます。
独学で始められたという刺し子作家の小松柾子さん。
Nowvillageさんでワークショップなども開催されています。
伝統模様が施されたブローチは、ひと針ひと針均等で細やか。
糸と布の配色など小松さんの感性が光ります。
秋田県大仙市にて、真鍮、洋白、銅、銀メッキなどを使い、彫金・鍛金の伝統技法を用いて 気持ちがよく、美しく、永く愛でていたいものをと考えながら製作されている坂本喜子さん。
カトラリーの持ち手部分は、滑りにくいようにと、ご自身で模様を施したという金槌で叩き跡を付けています。
通常のものよりも、浅い作りにすることで口当たりの良さを追及されていたり、お皿から救いやすいように角を尖らせたカレー匙など、心地よく作り手の想いに寄り添われていることが伝わってきます。
昭和40年創業、生まれ育った「五城目」の山からいただく木材で「人と人をつなげる食」を大切に、確実に届けるための「容器」を作っていらっしゃる佐藤木材容器さん。
「KACOMI」は、食事をみんなで食べると何だか楽しい、そんなみんなで囲めるお皿を作りたいという思いからできた作品。
白は、秋田杉の明るく澄んだ木目が印象的です。
サイズ展開も豊富で、一人分、人が集まる時には一尺など、用途に合わせてお選びいただけます。
いぶりがっこをカットできる、カッティングボードなども届けてくださいました。
秋田を拠点にリネンや帆布を使って一つひとつエプロンを作られている、髙橋エプロン計画室さん。
エプロンは、着るのが億劫でこれまであまり出番がありませんでしたが、その気持ちを変えてくれたのが、このエプロンでした。
クロスしている肩紐の間に首を通すだけですっぽりとかぶることができるデザインで、しっかりと体を包み込んでくれるので、服を着ているような軽やかさ。
やさしい色合いの生成り素材は、広島の向島で織られている尾道帆布。
現在では製造されなくなった古い織機で織り上げられています。
鞄などの布地に使われる糸に比べて細い糸が使われているため、驚くほど柔らか。
秋田市の築130年の造り酒屋の店舗兼住宅だった古民家の一角に、今年の春オープンした月と木さん。
秋田ならではの味のある籠を後世に残すため、あけび蔓に触れるワークショップなどを開き、自然素材の籠とそれを育む里山に思いを馳せてもらいたいと願い、活動されています。
加代子さん、房子さん、真弓さん、及位さんが作る籠は、それぞれに個性を放ちます。
84歳の房子さんは、現在も原付バイクで材料を採りに行かれているのだとか。
あけびや山葡萄、くるみの革など、身近にある素材で作られる生活道具は、自然の風合いが生きているように感じます。
秋田県南秋田を拠点に活動されているつむぐさん。
つむぐさんが使う食材は、100%植物性でシュガーフリー。
元々料理をすることがお好きだったそうですが、体調を崩したことをきっかけに、毎日のこと、食事について目を向けるようになったと話されます。
自然のものを使うとこんなにも美味しくできるということへの発見と面白さを体感し、お菓子作りを始められました。
果物や甘酒、クミンやあおさなど、素材一つひとつのおいしさを噛み締めるようにしっかりと感じられます。
愛媛や秋田の手仕事を紹介されているNowvillageさん。
コホロとは長いお付き合いです。
地域に根付く手仕事や昔ながらの風習など地域特有の文化に魅せられ、その文化を広げたいと2015年にNowvillageを立ち上げられました。
地域に息づく伝統的な風習や手仕事を、広く伝える活動をしているされていて、秋田の手仕事を取材し、紹介するフリーペーパー「いま、秋田村から」の発行、問屋業、ワークショップの開催などもされています。
今回の作品展では、Nowvillageの今村香織さんが秋田の作り手の方とのご縁を繋いでくださいました。
今村さんが八橋人形の辰を描かれた、愛くるしい顔立ちが目を惹きポストカードや、秋田の壮大な台地のような爽やかなイラストが描かれた、大雨や暑さにも負けずに育ったあきたこまちなども届けてくださっています。
秋田市で60年以上「太平箕」をつくり続けてきた職人の田口召平さんからは、樹皮細工の物入れ。
武田謙一さんが作るみごほうき。
実子(みご)とは、稲の穂先から第一節までのことで、柔らかい穂先を束ねて作られたのが「みごほうき」です。
本庄あずささんが作る、美しく均等にイタヤカエデで編まれた鍋敷きなども。
秋田県秋田市新屋に元々あった器屋を引き継ぎ、2021年の春にオープンした民芸パパヤーさん。
秋田のつくり手という軸と、素材からつくるものづくりという軸に絞り、北海道から沖縄の器と食卓のものを紹介されています。
秋田で活動されている陶芸作家の田村一さん、中嶋窯さん、三温窯さん、渡邊葵さんの作品が並びました。
明治9年創業以来、秋田県仙北市角館にて樺細工(かばざいく)を作られている八柳商店さん。
樺細工とは、ヤマザクラ類の樹皮を用いて作られる工芸品。
江戸時代から受け継がれる技術を大切にしながら、現代の暮らしに寄り添うものづくりをされています。
茶筒や珈琲キャニスターは、「サワグルミ」の経木を熱で丸めて、その内側と外側に桜の皮を貼り付けて作られています。
今回届けてくださった作品は、貼り合わせず、皮一枚で作ったもの。
一つとして同じものがなく、自然の木そのもののような質感にあたたかさを感じます。
「樺剥ぎ(カバハギ)」という皮を採集する専門の職人が以前は多くいたそうですが、現在は高齢化などが原因で減少したことから、材料の確保がとても難しくなっている、とても希少な材料。
10年ほど前からは八柳さんのスタッフの方総出で山へ行き、材料を採集されています。
採集してから2年は乾燥させる必要があり、それを重りに乗せて平らにし、やっと表面を削る作業へと入れるそう。
霜降皮は、採れる皮全体の3%ほどと、採れるものもほんのわずかです。
丁寧に時間をかけて作られるものは、両手で包み込みたくなるような、ぬくもりを感じます。
コホロでも馴染み深い、八橋人形伝承の会の八橋人形。
江戸時代中期頃から制作されているとされる秋田市の伝統的郷土人形です。
型に粘土を詰め、貼り合わせた後に型抜きし、自然乾燥させたのち、素焼きして彩色されています。
来年の干支の辰を始め、秋田犬や鳩笛なども届けてくださいました。
伝統的工芸品の大館曲げわっぱを継承し、伝統に新たなデザインを加えたものづくりをベースに、消費者と作り手のコミュニケーションを重んじたものづくりを目指されている、りょうび庵さん。
代表の石黒良彦さんは、市内の曲げわっぱ工場に30年勤務し、60歳でりょうび庵を立ち上げられました。
今回は、お櫃や米櫃、曲げわっぱを届けてくださいました。
やわらかな曲線と滑らかな触り心地。
秋田杉は、湿気をほどよく吸収してくれるので、時間が経ってもお米がもちもちでおいしくいただけます。
伝統的な技術を活かし、現代の生活にも馴染むものづくりや職人の確かな腕で作り出されるものなど、魅力が詰まった秋田の手仕事。
遠く離れた大阪でも、秋田で生み出された生きる暮らしをみなさまにも堪能していただきたいです。
オンラインショップも同時開催中。
喫茶室では、12月9日(土)より秋田の食べものを提供予定です。
秋田祭りのコホロをどうぞお楽しみください。
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12月2日(土)より、淀屋橋にて「コホロと秋田」を開催いたします。
秋田県は、風土と気候に生きる伝統文化の宝庫。
歴史のある文化は、今も大切に守り伝え、受け継がれています。
そんな秋田を感じられる展示会をしたいと考えていました。
今展では、秋田に纏わる器や道具、食べものをたくさんご紹介します。
またオンラインショップでも同時開催予定です。
喫茶室KOHOROでは、秋田の食べものを提供予定。
秋田祭りのコホロをどうぞお楽しみください。
阿部始こけし店 生地山こけし
硝子工房窯硝 鎌田祥子 ガラス
木能実 ナッツ・ドライフルーツ・チョコレート
小松柾子 刺し子
坂本喜子 金工
佐藤木材容器 木工
髙橋エプロン計画室 エプロン
月と木 籠と革細工
つむぐ お菓子
Nowvillage 藁や樹皮細工、正月飾りなど
本庄あずさ イタヤ細工
民芸パパヤー 器
八柳 樺細工
八橋人形伝承の会 八橋人形
りょうび庵 曲げわっぱ
(50音順)
「コホロと秋田」
2023.12.2(土)ー11(月)
11:00-18:00
定休日:5(火)
コホロ淀屋橋