山形県で作られる、長文堂の鉄瓶をご紹介します。

長文堂の鉄瓶
良質な砂鉄が採れる東北地方では、昔から日本刀や鉄器が作られてきました。
山形鋳物の歴史は平安時代に遡り、長文堂ではその伝統を受け継ぎ、鉄瓶を作り続けています。

昭和27年に創業し、現在は三代目となる長文堂の長谷川光昭さん。
「薄肉美麗」と呼ばれる薄く美しい形が特徴の山形鋳物。
昔からの技法、形の素晴らしさ、鉄という素材の魅力を私たちに教えてくれます。

「なつめ」は初代から作り続ける形。
すっきりとした滑らかな美しい姿が、永く愛されています。縁起物とされるナツメの実に似た姿から名付けられました。

 


▲左/1L 右/1.5L

大きさは1Lと1.5Lと2サイズあり、それぞれ愛嬌のあるツマミです。
形は先祖代々伝わるもの。なすびは、創業者のお兄さんが作った形を蓋のつまみに使ったのが始まり。
長文堂の鉄瓶には、実がいっぱいのなすびや、梅、菊の花など、縁起物がツマミとして付けられています。
何年も長く使う道具に、幸せを願う気持ちが込められています。


▲左/1Lの小には「なすび」、右/1.5Lの大きいサイズには「梅」が付いています


鉄瓶のつくり
砂を固めて作る鋳型に、鉄を流し込んで作る鉄瓶。上下に分けて作った型に、別に作った注ぎ口を埋め込みます。
この型は繰り返し使うことができません。1つ作ったら型を壊して取り出し、その砂を使ってまた型を作る。1つずつ型から作ることで美しい形が出来上がりま
す。

型から出たばかりの鉄瓶は、鉄の銀色に近い色。このあと高温で焼くことで表面に酸化皮膜を作ります。古くから続く錆止めの技法です。


▲左が焼く前の鉄の欠片、右が焼いて酸化皮膜を作ったもの。色が変化しています。

表面は砂を固めて作る鋳型の跡が残る鋳肌(いはだ)仕上げ。質感が残ることで、趣のある表情を作っています。

細部の形を整えたあと、表面に漆を焼き付けます。めごばけと呼ばれる刷毛で熱い状態の鉄瓶に塗ることで、漆が馴染んで剥がれません。内側にも漆を丁寧に塗り焼き付けてあります。



長文堂の大きな魅力の1つである外側の深い色。
漆を焼き付けた後、おはぐろ(鉄を酢につけて発酵させ、お茶を混ぜたもの)を塗り付けて風合いを出します。
数年使っていくと表面は少しずつ濃い色に変化し、深い色と光沢が出てきます。

コホロ淀屋橋では、今年の5月から新しいものを使い始めました。
鉄瓶を使うのが初めてのスタッフも、変化を楽しみに使っています。

▲写真右は1ヶ月弱使った様子。少し表面が慣れて変わってきました。左は新しいものです。

注ぎ口は手やすりで丁寧に仕上げているため、湯切れも良いのが特長です。
急須の茶葉にゆっくり当てる、珈琲をドリップする、湯量を調整しながら注ぐことができます。



▲コーヒーカウンターのある淀屋橋。細くゆっくり注げます。


使い方とお手入れ
鉄瓶を使いたいけど、扱いが難しいのでは?というお声をお店でも頂きますが、
難しいお手入れは必要ありません。
「沸いたら熱いうちにお湯を移し替えて、余熱で乾燥」
水を入れっぱなしにせず、余熱でしっかり乾かしていただければ大丈夫です。
空焚きは、鉄瓶に負担がかかるので、お水を出したあとに火にかけて乾かすのではなく、しっかり余熱で乾かします。

内側は洗わず、触らず。育つのを待ちます。
内側の底面は、乾かしていても錆が出てきますが、変化の1つです。
錆茶色の水が出なければ、問題ありません。慣らしていくと錆が止まり、経年変化で湯垢が付くと、お水がよりまろやかに美味しくなります。

使い始めの1ヶ月ほどは「慣らし」期間として毎日お湯を沸かすのをおすすめします。毎日お湯を沸かすので、慣らしと思わず、日々使っていただくのがお手入れになります。

錆びて錆茶色のお湯が出るときには、茶殻を入れて何度か沸かしてください。


鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかで、鉄分も補える優れもの。お茶を淹れると、甘みの引き出された味わいになります。
何世代にも渡って使い続けられる道具。使うほどに変化し、育てる楽しみも続いていきます。

 

 

<長文堂 Choubundo>

昭和27年に創業し、山形鋳物の伝統的な鋳造法を用い、「薄肉美麗」と呼ばれる肉厚が薄く鋳肌も美しい鉄瓶を製作しています。

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