伊藤満さんのカフェオレボウルは、KOHORO二子玉川の向かいのCafe Lisetteで使用しているのを見たのが、初めての出合いだった。
器の知識もなく、作家のこともあまり知らなかったため、作品に対する思いなども考えず、見た目に美しいと感じるものを選ぶことが多かった。
向かい側に座っていたお客さんのテーブルに、湯気がゆらりと揺れるあたたかそうなカフェオレボウルが運ばれてきた。
当時カフェオレボウルという存在も知らず、スープ好きの私はどんなスープが運ばれてきたのかと見ていた。
いつもは中身が気になるがいつの間にかスープのことは忘れ、カフェオレボウルに自然と意識が向いていた。
薄らと黒土の生地が覗く使い古したような味のある風合いに、すっきりとした胴回りのボウル。
木のテーブルに器が置かれたその景色に惹きこまれ、上司の話は上の空でカフェオレボウルを眺めていた。
マグカップではなくボウルで飲むことにも衝撃を受けたのだが、両手に持った時のカフェオレボウルの姿とは、こんなに美しいのだと今でもその時の情景が浮かぶ。
その当時、たまたま伊藤さんにお会いする機会があり、少しだけお話しを伺うことができた。
あのカフェオレボウルを作られていること、それ以外にも絵付けの作品などを作られていることを知った。
作家に会う機会もこれまでなかったため、自分の手で作り出すことの凄さを、実際に会うことで感じたのを覚えている。
この時、納品があったら絶対に買おうと心に誓っていた。
何年か経ち、やっと嬉しい知らせが!
両手で覆った時に自然とあの時の情景が浮かび、自分の手にしっくりくるものを一つ選んだ。
最初はカフェオレを入れて楽しみ、その後は丼ものや麺類、たっぷりサラダなどを入れて楽しんでいる。
今では、私の毎日の食卓には欠かせない存在になった。
これまで大サイズのみだったが、淀屋橋での作品展で中と小も仲間入りすることに。
想像した時から、これは買うしかないと思っていた。
実際に見ると、中にも小にも形のニュアンスに違いがあり、それぞれに良さを感じた。
中はスープにぴったりで、小はお茶を入れるのに使っている。
棚に並べた時の景色も好き。置き場のない時は、3つ重ねて綺麗に収納、それも嬉しい。
欲を言えば、さらに小さいサイズがあっても、茶器やジャムなどのソースを入れて使ったりできるので、仲間入りしてくれないかな…なんて考えたりしている。
それだけ、それぞれに良さがある。
使っていくうちに生まれる、経年変化を楽しめるところも魅力。
初めて出合った時に目にしたカフェオレボウルは、アンティークを思わせるような経年変化をしていたため、さらに奥行とあたたかさを感じた。
私もそんな姿になるのを楽しみに、これからも大切に育てていきたい。
( また3月15日(金)より、淀屋橋にて伊藤満展が始まります。
春の芽吹き、始まりの時期をテーマにした作品を届けてくださる予定です。
また伊藤さんの花器に、滋賀を中心に活動されているmûre(ミュール)さんがお花を活けて花器とセットで販売いたします。
定番の白や絵付けされたものなど、大きさも様々で約100点程花器を作ってくださっているそう。
お気に入りを探しにぜひいらしてください。
伊藤満展
2024.3.15(金)ー25(月)
定休日:19(火)
コホロ淀屋橋
11:00-18:00 )