水垣千悦さんの染付
現在開催中の水垣千悦展。
前回は黒釉花器のご紹介をしたので、今回は染付のご紹介です。
李朝や古いもの、昔話がお好きだという水垣さん。
染付の作品に描かれる様々なモチーフには、それぞれ1つひとつに意味や由来があります。
こちらはコウモリの箸置き。古くから中国ではコウモリはおめでたい印されていたそうです。コウモリは中国語に変換すると蝙蝠。
この蝠の字が福に似ていることや福が寄ってくる意味の「偏福」と発音が似ていることから縁起の良いものとされていたそうです。
何とも愛らしいコウモリ。体に福が描かれているとさらに良いことが起こりそうな気持ちになります。
十長生文の十長生(じっちょうせい)とは、長寿を象徴する十種の文様の日、雲、水、岩、松、竹、鶴、亀、鹿、霊芝を表します。
これらは、朝鮮時代の工芸品などに広く描かれていたそうです。
縁起の良い物が詰め込まれた作品です。
ニワトリは、太陽が顔を出すと同時に鳴きだします。
新年を迎えてから初めての日の出とともに1番に鳴くのがニワトリだということから「明けの鳥」とも呼ばれ、朝を呼び込む鳥として縁起がよいとされています。
水垣さんのニワトリは顔を向かい合わせて何かお話ししているかのよう。
こちらにもニワトリや鳥たちが。1つひとつ表情が違い、見ていて飽きません。
鳳凰は、中国神話に由来する鳥、霊鳥です。36種の羽を持つ動物の長であり、聖天子が治まる平和な世のみ姿を現わすとされているそうです。
水垣さんが描かれた鳳凰の小鉢にゼリーを載せてみました。
ゼリー越しに見える鳳凰が愛らしくもあり、世の中の平和を願う鳳凰のように、早く安心できる日々が戻ってきますようにと改めて心に思いました。
水垣さんの染付は、愛らしくユーモラスのある作品。
染付に描かれるものの意味を知りながら毎回器を使うと、ふと自分を振り返ったり、楽しいことを考えたりすることが増えるように感じます。
水垣さんならではの楽しい作品をぜひ。