淀屋橋にて12月12日(月)まで開催中の三浦ナオコ展。
約2年ぶりの開催です。
北海道ご出身の三浦さんは、岐阜県の多治見市にて作陶されています。
淀屋橋で在廊していただくのは約4年ぶり。
久しぶりの大阪にドキドキしているとお話しされていましたが、数年ぶりの再会を喜ばれたり、お客様との会話を楽しんでくださっていました。
前回の展示からこの2年の間に挑戦されたことも多く、今回の展示で新たな三浦さんの作品を拝見できることを楽しみにしていました。
今回挑戦したという新作の転写。
研究生時代に作っていたことがあったそうで、また作ってみようと思い始められました。
三浦さんご自身で描かれた模様の転写シートを、一枚一枚貼り付けて焼き上げられています。
楕円箱はあわせて三回焼成されており、側面は轆轤で形成した後、型で作った底面をつけているので大変時間も手間もかけられているのです。
写真は、古伊万里や瀬戸の印判などからインスピレーションを受けてできた模様。
瀬戸の印判に着想を得ているところや李朝や古いものがお好きという三浦さんだから生まれたオリジナルの模様です。
こちらは水玉模様。
転写の作品は、内側は釉薬を掛けていますが外側には釉薬を掛けていないのでマットな仕上がりに。
水玉模様だと可愛くなりすぎてしまうところを、艶をあえてださないことで絶妙なバランスを取られているところもさすがだと感じます。
転写楕円箱には、細々した小物を入れたりチョコレートなどのお菓子を入れても。
煎茶碗を洗ったり、器を温めるお湯を捨てる建水としても使えます。
現代と古いものを調和したような転写の作品。
グラフィックのお仕事をされていた三浦さんにしかできない発想で見る人を驚かせてくれます。
量産されているものと同じようにならないようにあえてマットにしたり、貼り合わせた跡やかすれなども残したりと一つひとつ手作りならではの面白さが楽しいです。
こちらも今回の新作、染付絵皿七寸。
壁に掛けられるようにと皿掛けも作品にあわせてお願いして作られました。
染付の作品は約2年前に始められたそう。
幾何学やストライプ、三角や四角などやわらかい色とタッチで骨董のような雰囲気もありながら、現代的な要素も感じられます。
薄墨色のような色は、やさしい雰囲気をだしながらも渋さや奥ゆかしさがあります。
転写の作品同様、三浦さんの作品は差し加減が絶妙だと感じます。
こちらは今回の展示会で初めて作られたという輪花杯。
以前から作っていらっしゃる輪花湯のみとは形も違いますが土も違い、同じ白でも印象ががらりと変わります。
なだらかに描く曲線、高台の高さや口元にいくにつれて広がりを見せる表情などシンプルでありながらも洗練された魅力を感じます。
漆器との組み合わせも相性がよく、これから年末年始など集まりの多くなる季節にも出番が多くなりそうです。
隅切り四方箱には、おせち料理を入れるのにもぴったり。
白磁の作品が中心でしたが、たった2年間でさらに作品の幅を広げられた三浦さん。
古いものと向き合い、多様なデザイン力と思考力で生まれた作品は、伝統を感じさせながらも新しい発見を教えてくれているようです。
東京に住んでいらっしゃる時に器屋によく行っていて、身の回りのものが変わると気持ちも変化していく、そこが作品を作るきっかけになったとも話してくださいました。
三浦さんが誰かの作品でそう思ったように、三浦さんの作品を通していつものごはんや特別な日など、心地よく気持ちを高めてくれて食卓に彩りを添えてくれる頼もしい味方になってくれています。
それは使い手の思いを馳せて作品に向き合っているからこそなのだと感じます。
この他にも掛け分け、白磁など定番の作品もご覧いただけます。
会期は、12日(月)まで。
三浦さんの挑戦する今をぜひご覧ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
淀屋橋では12月3日(土)より三浦ナオコ展を開催いたします。
岐阜県多治見市にて作陶されている三浦さん。
白磁を中心に作られていらっしゃいましたが、近年は掛け分けや染付などの制作にも取り組まれています。
伝統的な形や豊かな表情を見せる白磁の他、三浦さんの新たな一面を見れるのも楽しみです。
ハレの日や大切な人たちとの集まりの多い季節。食卓に美しい色どりを添えてくれる作品を探しにいらしてください。
三浦ナオコ展
2022.12.3(土)-12(月)
コホロ淀屋橋
作家在廊:3(土)
6(火)は定休日のためお休みです。