「稲吉善光 スエトシヒロ展」2024.2.17(土)-26(月)

淀屋橋では2月17日(土)より、「稲吉善光  スエトシヒロ展」を開催しております。
写真は初日の店内の様子。

展示会初日には稲吉さん、スエさんが共に在廊してくださり、二月とは思えないような春の日差しを感じられる、温かな天気に恵まれた初日となりました。

以前にも別の会場などで交流があったという稲吉さんとスエさん。
互いの作品にまつわるお話から、普段の何気ないことまで和やかにお話され、そんなお二人のゆったりとした空気が周りに伝わり、お客様も自然とリラックスしながらお二人との会話を楽しむ、そんな素敵な時間が流れました。

茨城県笠間市で作陶されている稲吉さんは、淀屋橋では4年ぶりの展示となります。
以前から定評のある鉄釉をはじめ、土のざらりとした風合いに存在感のある山砂釉、点々と浮かぶ鉄の黒が目新しい錆白など、様々な作品を届けてくださいました。

ころんとした丸みと、ひづみの残る形が温もりを感じる手びねりの丸碗。
丁寧に象られた縁の部分には、手びねりならではのやわらかな魅力を携えながら、どっしりと存在感のある印象を残します。

こちらも同じく手びねりで今回初めて挑戦されたという山砂釉オーバル皿。
土そのものを手にしたかのような自然な触れ心地が気持ち良く、大きすぎないサイズのオーバルは日々の食卓にさっと馴染みます。

形違いで八寸プレートも。
土の延長からゆるやかに伸び上がったようなリムが生み出す陰影と、目の詰まった奥深い黒が美しい作品です。


それぞれで数種類の土をブレンドし、粗い土、細かい土の配合や釉薬の掛け方を少しずつ変えながら調整しているという稲吉さん。
さらに仕上げにはやすりをかけ表面を磨いているのだそう。
おおらかで、力強さのある作品の裏には、想像以上に丁寧に、細かな工夫を施した稲吉さんの絶え間ない技量の上で完成されているのだと改めて知りました。

また、しっかりとした持ち手に安定感のあるマグカップも。

今回手がけた作品の中でも、釉薬を厚めにかけているという錆白。
ぽってりとした白釉の中に斑に浮かぶのは鉄の塊なのだそう。

最近新たに作り始めながらも、まだまだ変えていきたいところがたくさんあるのだと稲吉さん。
「少しずつ色味にも変化をつけていきたい。でも錆白だけじゃなくて、他にもしたいことはいっぱいあるんだけど、たくさんあり過ぎて中々追いつかないね。」
と快活に笑いながらお話されます。

長野県駒ケ根にて作陶されているスエさん。
今回はピッチャーやポット、茶器や盃など、道具をはじめとした幅広い作品を届けてくださいました。
内から発光するような優しい光が滲むスエさんの白は、その場にあるだけで空気がきりりと引き締まるような、洗練された美しさを放ちます。

今回新たに届けてくださったオカメ鉢は、サイズ展開も豊富に並びます。

他には無い、新たな形を作りたい!と思い生まれたのがこの形だったというオカメ鉢。
「元々は輪花皿だった形の花弁を減らして出来た形なんです。輪花皿は世にたくさん出ているから、今自分があえて作ることはないのかなと。どうせなら自分にしか作れないものを作りたくて。」


まるでオカメさんのようなふっくらとした頬を連想とさせる独特な形に、微笑ましくも不思議と惹きこまれます。
「ちなみに、"オカメマメ"という名前をつけたくて、このサイズを作りました。」と一番小さなサイズを手に、楽しげに話されるスエさんは茶目っ気たっぷり。

さらに今回は、今まであまり作られなかったというスエさんのお皿もご紹介しています。

元々高さのあるものが好きで、お皿は苦手だったというスエさん。
シンプルな平皿でありながらも、すっと滑らかに立つリムとほんのり高さのある高台がスエさんならではのオリジナリティを生み出しています。

また同じ白釉の作品を手掛けていく上で、質感には拘りを持って作られているというスエさん。
見た目は同じように見えても、実は窯の状態や焼き方で表面の仕上がりには違いが出るのだとか。
今回はかなり納得のいくものができたのだとにこやかに話されました。

肌に吸い付くようなしっとりとした触り心地に、しなやかな曲線が美しいスエさんの白磁と、広がる大地のように逞しくも繊細な表情を映し出す稲吉さんの陶器。
お二人の、一見相反するようなそれぞれの作品が隣に並んだ時にのみ見せてくれる特別な魅力を、この機会に是非お楽しみください。

会期は2月26日(月)まで。
後日オンラインショップでのご紹介も予定しております。
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淀屋橋にて、2月17日(土)より「稲吉善光 スエトシヒロ展」が始まります。
2人展の開催は、淀屋橋では今回が初めてとなります。
稲吉さんは茨城県笠間市にて陶器を、スエさんは長野県にて磁器土を使用して作陶されています。
土の力強さや手に触れた時の味わい深さを感じる稲吉さんと、ほんのりとマットで柔らかな風合いを表現されるスエさん。
それぞれの作品が持つ質感や色、形などの世界観は、互いの良さをより引き立ててくれるように感じます。
作品が重なる景色をどうぞお楽しみください。
初日は、お二人が在廊してくださる予定です。

稲吉善光 スエトシヒロ展
2024.2.17(土)ー26(月)
作家在廊:17(土)
定休日:20(火)
11:00-18:00
コホロ淀屋橋