芝田麻衣子展 馬渡新平展 2024.10.19(土)ー10.28(月) 

木々の葉が少しずつ色づき、ひんやり夜風が気持ちの良いこの頃。
淀屋橋では、10月19日(土)より芝田麻衣子展、馬渡新平展を同時開催しています。

淀屋橋では数年振りの開催となる芝田麻衣子展。
心地よく流れる秋の空気と共に、涼やかな白竹の作品がたくさん並びました。

大分県別府市で竹細工師として活動されている芝田さん。
多くの人に竹細工の良さを知ってもらいたいと、白竹を使用したバスケットや道具箱を様々な編み上げ方法で作られています。

今回の展示会では、八角形の目が等間隔に並ぶ姿が美しい八つ目のバスケットや蓋つきの道具箱、また編み目が亀の甲羅のような形に見えることから、亀甲編みと呼ばれる作品まで、幅広く届けてくださいました。

八つ目道具箱は違和感無く蓋を閉じることが出来るよう、一つの竹を蓋部分と箱部分用に切り分けて厚みを揃え、出来るだけ同じ曲線と形になるように同時並行で仕上げるのだそう。
シンプルな見た目からは想像もつかないような時間と工夫をかけて制作されています。


真竹の生産量が日本一の大分では伝統工芸品としても有名な竹かご。
竹かごを作り続けてもう13年は経つという芝田さんですが、始めたきっかけは、ある日出会った今までに無い新しい姿をした竹細工に心を奪われたからだそう。
「それ以降竹に対するイメージががらりと変わって、私も竹を使った作品を作りたいと思うようになったと同時に、竹の良さをもっと広めたいと思うようになりました。」
そんな芝田さんの生み出す作品は、その美しさにそっと隠れながらも、細部に詰め込まれた工夫と技術によって、使いやすさと耐久性をしっかりと備えた用の美を思わせるものばかり。

こちらは「差し六つ目 野菜バスケット」。
持ち手や渕の部分には、籐をたくさん使用した巻き渕仕様になっており、重たいものを入れてもゆらがない頑丈さと強度のある作品。

さらに底に敷き詰められた硬さが特徴の力竹は、一本一本そのかごのサイズに合わせて削り、手で触れても安全なように丁寧に加工されています。

竹の仕入れから、竹を細く割り、さらに薄く加工していくひご取りまで、全ての工程をお一人で作業されている芝田さん。
「竹は硬く、繊維が細かいので怪我も多い。女性で竹を生業にしている人が少ない理由の一つです。」
そんな厳しい世界でも、やはり作っている時間は楽しい、と優しく微笑まれます。
「籐の高騰や材料不足など、作り手としてこれからも続けていけるのか、年々厳しくなっている部分はあるのですが、それでもまだ手元にある竹と籐は、なんとかお客様に届けたいという想いで作っています。」


また今回の展示会では、竹をもっと身近に感じてもらえるようにと、白竹を使ったかごのワークショップを開催しました。

教えていただいたのは、竹ひごを回転させながら編んでいく、「四海波かご」。
水で湿らせて柔らかくした竹ひごを、形を作りながら少しずつ編んでいきます。
最初は談笑しながら作業されていた皆様も、いつの間にか手元に夢中です。

それぞれに生え癖や、しなりのある竹ひごが中々思い通りに曲がらず、四苦八苦すること二時間。
ころんとした丸みが愛らしいかごが完成しました。

参加された皆様一同に、「見た目以上に難しくてびっくりしました。」というお声や、また「実際に体験して、芝田さんの手仕事の正確さと細かさに改めて感動します。」と感嘆される方も。

膨大な作業をこなしながらも、日常の中にどうやったら竹の良さを取り入れてもらえるのかと、手間を惜しまず拘りを持って作り続けている芝田さん。
暮らしに優しく調和し、永く使うことでさらに輝きを増す芝田さんの美しい手仕事を、この機会に是非ご堪能ください。


続いて、こちらも淀屋橋では久しぶりの個展開催となる馬渡新平展。
今展では定評のある平鉢やリム皿、めし碗など、秋の食卓をあたたかく彩る様々な器が並びます。
写真は初日の店内の様子。


北海道の余市で作陶されている馬渡新平さん。
作品も全て北海道の土を使用して作られています。
レンガ土を混ぜることで味わいを増し、そこに様々な灰がブレンドされた釉薬をかけることで、独自の質感と風合いを生み出されています。

またうっすらと青みがかった白が美しい作品もたくさん届けてくださいました。

林檎農家さんが林檎の木を薪として使用した後の灰を貰い、さらに藁灰と組み合わせた釉薬を使用しているという白ヒビ粉引。
しんしんと降り積もる雪化粧のようなやわらかな白と、ところどころに浮かぶ鉄粉、ほのかに透ける陶土、全てが絶妙なバランスでその魅力を引き出しています。

こちらは白ヒビ粉引と同じ林檎の灰と藁灰の釉薬を使用した刷毛目の白カップ。
力強くもどこか品のある白の刷毛目と、控えめに浮かぶ土が趣のある佇まいです。

「このカップの釉薬には、実は少しだけ土を混ぜているんです。」と馬渡さん。
そうすることで、よりさらりとした質感に変化するのだそう。
「パッと見同じように見えても、少し変えるだけで表情や使い心地が全然変わるんです。違いがあるほうがいいかなと思って、他の作品もその時々によって形や釉薬をちょっとだけ変えたりしています。」
そう言ってやわらかく笑う馬渡さん。
使い手の気持ちをしっかりと汲み取りながらも、素材一つひとつの良さを柔軟に変化させる馬渡さんだからこそ、どんな料理も伸び伸びと受け止めてくれる器が生まれるのだと感じます。

同じく刷毛目の作品でマグカップやケーキ皿にピッタリなお皿も用意してくださいました。
ぐるりと渦を巻くように塗り込まれた刷毛が釉薬としっとり重なり、おおらかながらも奥行きのある美しさです。

一日の終わり、モンブランと温かい珈琲をたっぷり淹れて。
ゆっくりと秋の夜長を楽しみます。

毎日の食卓に気付けば取り入れているような、自然な魅力が広がる馬渡さんの器。
一部完売となっている作品もございますが、まだまだたくさんの作品をご覧
いただけます。
晴れやかな秋の日のお散歩と共に、是非お手にとってそれぞれの表情をお楽しみください。
芝田さん、馬渡さん共にオンラインショップでのご紹介も予定しておりますので、そちらもお楽しみに。

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10.19(土)からコホロ淀屋橋では、大分県で竹のものづくりを行う芝田麻衣子さんと、北海道で陶器の作品をつくる馬渡新平さんの作品展を同時開催します。

細やかな編み目や佇まいが、現代の暮らしのなかにも自然と馴染む芝田さんのかご。
写真の野菜かごをはじ
め、様々なかたちを届けてくださいます。
また20(日)には、かご編みのワークショップも開催します。
詳細はこちら≫

豊かな土の味わいが料理がぐっと引き立たせる馬渡さんの器。
秋から冬にかけての食卓をイメージしたヒビ粉引や白粉引の作品を中心にご紹介します。
どうぞ二人の作品をお楽しみください。

芝田麻衣子展  馬渡新平展
2024.10.19(土)ー10.28(月)
作家在廊:馬渡さん19(土)、芝田さん20(日)
定休日:22(火)
11:00-18:00
コホロ淀屋橋