「山岸厚夫展」2022.11.19(土)-28(月)

淀屋橋から二子玉川への巡回となる「山岸厚夫展」。
二子玉川のお店では11月28日(月)まで開催しています。


初日と2日目は厚夫さんと奥様の敏子さんが在廊してくださいました。
コホロの在廊は久しぶりでしたが、お二人の太陽のような笑顔と元気な笑い声がお店に広がりとても温かな空気に包まれました。

ご実家である「河和田漆器」の道を歩み、先代「山岸金重」より塗の技法を習得された山岸さん。
活動を始めた頃は光沢のある漆器を作られていましたが、「使っていたら傷がついた」「傷をつけないためにどんなお手入れをすれば良いか」など傷を気にする意見や、扱うことへの不安の声がたくさん集まったのだそう。

漆器が芸術品のようにかしこまった存在であることに違和感を覚え、眺めているだけではなく、気兼ねなく使えるような漆器を作りたいと辿り着いたのが“刷毛目塗”。
刷毛目を自然に残した下地にさらに刷毛目で色を重ねることで、傷が付きにくく付いても目立ちにくい漆器ができました。
作り始めた当時は邪道だと言われることもあったそうですが、普段使いしやすい丈夫なものだと強い信念をもって制作を続けた厚夫さん。
コホロでも永く山岸さんのお椀を使っている方が多くいらっしゃり、「本当に丈夫で毎日の食卓に欠かせない。」という声を本当によく聞きます。

△4.2盛椀 刷毛根来/古代根来/曙
「特別なお手入れも必要なく、陶器のようにどんどん使ってください。」と厚夫さん。
使っていく中で色の変化が気になるという方や、縁が欠けてしまったという方は修理も承っています。
修復後、ピカピカになって戻ってくる漆器を見てスタッフもいつも驚かされています。

△かなまり さら L 曙/刷毛根来
赤の上に黒を重ねた曙、黒の上に赤を重ねた根来。
使っていくうちに変化していく色を楽しめるのも山岸さんの漆器の醍醐味です。

根来は最初は重厚感のある赤色ですが、だんだんと明るい赤色に。

曙は黒の透明感が上がってきて、下地の赤色が現れます。
艶が増し育っていく姿は何とも言えない美しさです。

今回の展示では黒の上に黒を重ねた時代黒の作品も届きました。
ずっと深い黒色を楽しみたいという方におすすめ。
載せる料理を引き立てて、食卓の雰囲気をキュッと締めてくれます。

△尺1.5会席膳 古代根来
骨董品のような古い色合いを出したいと山岸さんが作った古代根来。
朱のような深い色合いは、使うほどに鮮やかに変化していきます。

△漆和紙48.5×32

△漆和紙100×100

7年ほど前にご病気で右手がうまく使えなくなってしまった厚夫さん。
最初は落ち込む日々が続いたそうですが、左手を使って制作活動ができることに気づいてからは絵を描いたりどんどん新しいことに取り組まれています。
今回は越前和紙に漆で絵付けをした作品や、鮮やかに色を塗った取箸を作ってくださいました。
作ることの喜びが伝わってくるような、眺めているだけで元気が湧いてくる作品です。

△かなまり さら L

△かなまり はちL/刷毛根来
今回の展示でたくさんの種類を届けてくださった“かなまり”シリーズ。
ステンレスに漆を施した作品は、息子の芳次さんの試みです。
金属だからこそ表現できるキリっとした縁や、反りかえるようなフォルムが美しく、漆器の概念が変わりました。
木よりも丈夫なステンレス素材。親から子へと永く使い続けてもらいたいという想いが込められています。

伝統を守るだけでなく、新しいことに挑戦される芳次さんの姿を嬉しそうに話す厚夫さんと敏子さん。
厚夫さんから芳次さんへ、受け継がれていく想い。
使う方のことを第一に考えて作られる漆器は、きっとこれからもたくさんの方に愛され続けることと思います。
今後どんな挑戦をされ、新しい漆の可能性を教えてもらえるかとても楽しみです。

△荒挽汁椀/黒 △四つ椀/古代根来

△尺二小判トレー/時代黒 △荒挽箸/刷毛根来

△荒挽八封盆/刷毛根来
山岸さんの作品はオンラインショップでもご覧いただけます。
年末やお正月にも活躍する椀やお盆、お箸などたくさんご紹介しています。
会期は28日まで。
お店に来るのが難しいという方もぜひお楽しみください。

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淀屋橋での展示の様子はこちら≫≫
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二子玉川では11月19日(土)より山岸厚夫展を開催いたします。
汁椀やれんげなどお店にはいつも作品が並ぶ山岸さんですが、年末の作品展ではこの時期ならではの作品も数多く並びます。
大きめのお椀や、お盆に酒器、新しい年の始まりには山岸さんの器が欠かせません。
たくさんの人が集まり賑やかで晴れやかな年迎えが出来ることを心待ちにしながら、山岸さんの器をお迎えください。

山岸厚夫展
2022.11.19(土)-28(月)
作家在廊:19(土)15時~、20日17時まで

KOHORO二子玉川