二子玉川のお店では、6.2(月)まで水垣千悦展を開催中です。

アジア、とりわけ中国の個展に登場する空想の動物・パグや麒麟。
「福」と「蝙蝠(こうもり)」が同音であることから縁起物とされる蝙蝠(こうもり)。
出世や力の象徴である龍。
古いものから影響を受け、制作をおこなう水垣さんの作品の中には愛嬌のある表情でのびのびと描かれた生きものたちが息づいています。


動物以外にも、のどかな情景の山水模様や、「福」「寿」などの文字がさりげなく紛れ込んでいることも。
今も昔も、食卓を囲み時間を共にすることは、人間の根源的な喜びだったのだなと感じさせられます。


水垣さんのうつわには、どこか緩やかでかちっとし過ぎない雰囲気があります。
制作に使っている手回しろくろは電動とは違い、回転が一定でなく、棒で回しながら成型するので自然な歪みや不均一さが生まれます。
主に自宅の敷地内にある薪窯をつかって焼成を行うことで、やわらかなゆらぎも生まれ、表情をより豊かにしています。
目の端にふと映るかたちや刷毛目のゆらぎから、想像の世界が広がってゆく。
そんな楽しさも教えてくれるのも、水垣さんのうつわの魅力の一つです。


李朝時代のうつわに心惹かれ、陶芸の道に進んだ水垣さんですが、
どうやってもかなわないものに近づきたいという思いが、制作の原動力になっていると以前お話しされていました。
特に花器のかたちは古くから続く型に倣いながら制作をしています。
梅瓶の肩のラインや腰のふくらみは、一度デッサンをしながら形を探っているのだそうです。

先人に敬意を払いながらも、水垣さんの視点が加わることで新しい魅力を持ち、現代の暮らしにも自然と馴染んでいくように感じます。
「時々、呪いの言葉が入っているうつわもあるけれど、基本的には"良いことがありますように"といった願や、”桃源郷”のおうな明るい希望が込められてきたのが器なんだと思います。」


今回は水垣さんの自宅に残されていた石碑を模った作品も届けてくれました。
時代を超えて語り継がれてきたことに想いを馳せながら、器の先にいる人に福が訪れますようにと、水垣さんは制作と向き合われています。
日々の暮らしの中で、ふと幸せを感じる瞬間を与えてくれるような器たち。
器に添えられたコメント共に作品をお楽しみください。
30 (金)からはオンラインショップでのご紹介も始まりました。
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