イベント「皿山喫茶室」

KOHOROでは初めてのご紹介となる「USUKIYAKI 臼杵焼 展」を淀屋橋にて開催しています。
大分県臼杵市は山や海が近い、自然豊かな場所。
また草木を主原料とする完熟堆肥を用いた土づくりからはじまる有機農業は、町を挙げて取り組まれています。

約200年前の江戸時代後期臼杵藩の御用窯として始められ、一度は途絶えてしまった幻の焼き物。
それらを復興させるため、残された僅かな資料や作品を元に、現代の暮らしにあった形で蘇らせたのが「臼杵焼」です。
その復興プロジェクトを主催しているのが、USUKIYAKI研究所の代表を務める宇佐美裕之さん。
陶芸家であり、USAMI食堂の料理人でもあります。
工房のある国宝臼杵石仏の里の公園には蓮畑があり、蓮をモチーフとした開花を思わせる華やかなカップや蓮の葉そのものを形どった葉脈もくっきりと浮かび上がる作品なども制作されています。
毎年蓮の開花に合わせて、蓮の花、根、実、葉などを取り入れた野菜中心の「蓮を愉しむ会」も開催されています。

うすき皿山では、臼杵焼製造の見学や型打ち、金継ぎ体験が出来るアトリエや臼杵焼の展示販売をされているギャラリー、喫茶室、焼き菓子工房で構成された「つくる・みる・ふれる」が体験できる器と食の空間になっています。
器と食という部分で、淀屋橋のコンセプトでもある「器と食べること」にも通ずるものを感じ、器の紹介だけでなく食に関するイベントも行いたいと思い、打ち合わせを重ね今回実現することができました。

初日17日(土)・18日(日)に開催した宇佐美友香さんによる「皿山喫茶室」。
お菓子を盛り付ける器や中国茶に使う道具など、臼杵焼が景色に溶け込むように設えられました。

迎え茶として出されたのが紫芽白茶。
甘いやさしい香りがふわりと広がり、飲み終わった杯の香りもずっと楽しんでいたくなるほど。

今回用意していただいたお菓子は二種。
一皿目は、ご実家である柑橘屋の柑橘六種を使用した美しいグラデーションのゼリー。

果肉がプチプチと弾け、香り高い素材の味わいをしっかりと感じられます。
下にいくほど甘味が増すように構成されていて、口に運ぶ度味の変化が楽しく、添えられたクリームの甘さとほんのりと感じる酸味との相性も抜群でした。
二皿目は、臼杵新茶の抹茶で作られたバスクチーズケーキとモンブラン。

小豆の食感がしっかりと感じられ、まったり濃厚でいてきりっとした抹茶クリームに、タルトの食感とクリームのほろ苦さが相まって口の中いっぱいに幸せが広がりました。
バスクチーズケーキは、しっとり滑らかで、甘さとほろ苦さが絶妙。
添えられたチョコパイの塩味が、さらに食欲を掻き立てます。
絵画を引き立てる額縁のように料理を縁取る器は、盛り付けた時により器の魅力が現れるように感じます。

お菓子にあわせて淹れていただいたジャスミン茶や古樹紅茶。
お水にもこだわり、湧き水を使用されています。
樹齢百年を超えた茶樹を使用した古樹紅茶は、香りにまとまりがあり、飲んだ後に喉に染み込むような深いコクを感じられました。

茶杯の薄い飲み口は、口当たりがすっきりとしていて、お茶本来の味わいを楽しめます。
淹れられる友香さんの所作の美しさにもうっとり。
ずっと眺めていたくなるほど、自然とその空気間に惹き込まれていきました。

臼杵市は、古くから残る伝統的な食文化も大切にされています。
そういった素材を生かしながら、作品を引き立てることができるものづくりをという思いで作陶されているからこそ、生まれる器と食の融合。
主役はあくまでも料理で、盛り付けた時に完成する器。
盛り付けた時に感じる驚きや発見が臼杵焼にはあります。

本日よりオンラインショップでも作品のご紹介が始まりました。
こちら≫よりご覧ください。

「USUKIYAKI 臼杵焼展」
2025.5.17(土)ー26(月)
11:00-18:00
コホロ淀屋橋