二子玉川からの巡回展となる山岸厚夫展が、11月3日より淀屋橋でも開催しております。
写真は初日の店内の様子。
初日には厚夫さん、奥様の敏子さんが淀屋橋に在廊してくださり、お二人の快活な笑い声につられてお客様もスタッフも笑顔になってしまうような、明るく賑やかな空間となりました。
福井県鯖江市で錦壽といううるし工房をご家族で営まれている山岸厚夫さん。
漆の器を作り始め、もうすぐ50年は経つのだそう。
漆器を届けるために、国内から海外まで全国を飛び回っていたこともあるといいます。
実際に現地に赴き、その場所や関わる人と直接会って話すということを大事にされているという厚夫さんは、
「どんな人が作っているのか、お客様はもちろん扱ってくれるお店の方や関わる方に知ってもらえることで、より作品に対する思いも変わってくる。そして私も現地のどんな方が手に取ってくれるのか知ることができる、良いことばかりです。」
と大きな笑顔ではつらつとお話され、作品を通して携わる一人ひとりとの関係をとても大事にされていることが伝わります。
今回の展示会では二子玉川での開催に引き続き、淀屋橋でも漆のワークショップを開催しました。
紙やすりを用いて漆器を自分の好きな柄になるよう磨いていく「研ぎ出し」という工程をお楽しみいただける貴重な体験。
ご参加いただいた方が選ばれたのはティースプーン。
指の力の入れ具合ややすりの当てかたで色の出方が変わり、細かに調整をしながら磨かれていました。
研ぎ出す前と比べると、一気に味わいのある風合いへ。
ワークショップという体験を経て、自分だけの表情に生まれ変わった漆器は、これから使っていくことでさらに思い入れのある特別なものになります。
店内では研ぎ出しを使用した他の作品もたくさんご覧いただけます。
すっと横に流れるようなものや、全体に細かに入れられたものなど、それぞれに躍動感があり、個性豊かな作品が揃います。
しなやかな曲線からイメージを得て名付けられたというヴィーナス椀。
滑らかなシルエットが特徴的な高台周りは掌に馴染みやすく、持ちやすい形がとても気に入っているのだそう。
こちらはそのダイナミックさに目を奪われる刷毛片口(大)。
重厚感のある見た目ながら驚くほど軽く、使い方によって大きく印象の変わる漆器です。
水を張り、花器としてお花や枝ものを生けても。
また片口部分には丁度ワインボトルの先が収まるようなサイズになっており、氷を入れてワインクーラーとしてもお使いいただけます。
木のくり抜きで作られているという、すらりと背の高いワイングラス。
細身なステムの部分は、しっかりとした技術が無いと木を削っている途中で折れてしまうことがあるそうで、この形を作ることの出来る職人さんは限られているのだとか。
漆とワイングラスという少し意外な組み合わせながら、温度を一定に保ってくれる漆器は常温で味わう赤ワインなどを楽しむのにピッタリです。
奥様の敏子さんは、日本酒を入れて味わうこともあるそう。
「日本酒は透明だから、刷毛目が透けて見えてとても綺麗なんです。ついついお酒も進んでしまいます。」と少し照れながらも笑ってお話されます。
コーヒーカップやシュガーポットなど、お家時間を楽しめる作品もたくさん届けてくださいました。
漆器ならではの耐久性と軽さを備えながら、和洋どちらの食卓にも馴染む厚夫さんのカップ。
熱伝導率の低い漆器は、熱々の飲み物を入れても温度が手に伝わりにくく、毎日の珈琲や紅茶に。
熱を逃がさないので冷めにくく、寒くなるこれからの季節に重宝します。
小匙とセットになったシュガーポットはころんと丸みのある可愛らしい形。
抗菌作用のある漆がたっぷりと使用されているので、中に入れたお砂糖を清潔に保ち続けてくれる、衛生面としても頼もしい作品。
お砂糖だけでなく、お塩などちょっとした調味料の保存にも最適です。
ご病気を患われ、一度は作り手から遠ざかっていたものの、8年越しに漆器作りを再開された厚夫さんですが、中々思う通りにいかず悩まれた時期もあったそう。
けれど、「じゃあ何か他にできることはないか?」と思い直し、改めて敏子さんと協力しながら作品と向き合っているのだとお話されます。
様々な困難を乗り越えながらも、一つひとつ今出来ることを模索し、挑戦される厚夫さんと、横でしっかりと支える敏子さん。
そんなお二人が生み出されてきた作品たちだからこそ、これほど長きに渡り愛され続けているのだと感じます。
お味噌汁にぴったりな汁椀や年越し蕎麦を入れたくなる多用椀など、まだまだたくさんの作品をご覧いただけます。
山岸厚夫さんの上品でありながらも力強さのある漆器たちを、この機会に是非お楽しみください。
お店での会期は11月13日(月)まで。
オンラインショップでは、15日11時までご紹介しております。
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11月3日(金)より淀屋橋にて山岸厚夫展を開催いたします。
コホロのスタッフやお客様の中にも、毎日の食卓で愛用している方ががたくさんいる山岸さんの漆器。
昨年好評だった内側と外側掛け分けの汁椀をはじめ、展示ならではの一点ものや定番のものまで幅広い作品が並ぶ予定です。
また今年は漆の手仕事を体験できるワークショップも開催します。こちらは事前予約制ですので詳しくはイベント詳細をご覧ください。
山岸厚夫展
2023.11.3(金)-13(月)
作家在廊、ワークショップ(事前予約制):3(金)
※7(火)は定休日
11:00-18:00
コホロ淀屋橋
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