「境道一・知子 展」2024.7.19(金)ー7.29(月)

7月19日(金)より「境道一・境知子展」を開催しています。
淀屋橋のお店での開催は約二年ぶりとなり、初日にはお二人が在廊してくださいました。
写真は初日の店内の様子。


道一さんからは以前から定評のある織部釉や粉引き、新作のマンガン釉を使用した茶器や平皿など、夏の食卓にピッタリな作品がたくさん届きました。
幾重にも折り重なったような緑と黒の色調が目を惹く織部釉は、その形によって釉薬の輝きと深みが異なり、思わず細部まで見入ってしまうような奥深い魅力があります。
しっかりと厚みのある叩き皿は、形成した時と焼いた時とのバランスをとるのが難しく、同じ織部釉でも火に強い土を使用し強度を上げているのだそう。
「こういう叩き皿は失敗することも多いから作りたがらない人も多いけど、茶杯を置いて台にしたり、お魚をのせたり、おかずを豪快に盛り付けてもいいよね、なんとなく僕は好きで良く作ってます。」
と朗らかに話されます。
知子さんからは白釉や白磁をはじめ、新たな質感の新作なども豊富に並びます。
今回「涼を呼ぶ、夏のごはんと器」をテーマに、ワンプレートやオーバル皿、冷たい麺の鉢など、夏の食卓を彩る器を境さんにリクエストしました。
夏のごはんにピッタリな知子さんの白磁のエッジプレートは、透明度の高い明るい白が涼し気な雰囲気に。
いろいろな土を試しているところだという知子さんは、新たな作風にもチャレンジしているのだとか。
新作の粉引小皿は一度薪窯で焼き、その後ガスで焼き直しをしているそう。
たっぷりとかかる釉薬と粗い土っぽさのある質感が新しく、唯一無二の表情を生み出しています。

またリクエストしたお二人の花器には、滋賀を中心に活動されているフローリストmûre(ミュール)さんがそれぞれに合うピッタリの草花を生けてくださいました。

初夏らしい青々とした草花が、お二人の花器を晴れやかに彩ります。

柔らかな白にうっすらと透ける土とのバランスが美しい知子さんの刷毛目壺。
化粧土をかけたあと、表面を少しずつ削ることでさらさらとした質感を生み出しているのだそう。
驚くのはその大きさに反した軽さ。
手びねりで作るからこそ、この軽さが生まれるのだそう。
「以前はろくろで作ったりもしていたけど、手びねりの方が厚みを自分で調整できるから、その分軽くもできるんです。作るのも手びねりのほうが体が楽というのもあるんですけどね。」と茶目っ気たっぷりな知子さん。
同じ刷毛目でちょこんとついた耳が愛らしい花器に、小ぶりなピッチャーも。

道一さんからは、最近新たに作り出されたというマンガン釉の花入れが届きました。
土そのものの色で焼きあがるという陶土を使用した花入れは、生けた植物と調和しているような自然な風合いに。
内から滲み出る光沢と、きゅっとくびれたシルエットはきりりとした格好良さのある佇まい。

また、初日には道一さんが店内でお茶をふるまってくださいました。
道一さんの耐火炉にアルコールランプで火を灯し、土瓶で沸かしたお湯からはもくもくと湯気が昇ります。
てきぱきと準備をするその手際の良さはリズミカルで心地よく、いつまでも眺めていたくなります。


今回淹れてくださったのは、現地の方からいただくことも多いという中国茶と中国紅茶。
一煎目、二煎目、三煎目と注ぎ入れながら、都度変化する茶葉の香りや状態を丁寧に教えてくれます。
「夏に飲む温かいお茶も案外良いですよね。」とお客様とお茶菓子をつまみながらゆったりと談笑する道一さん。
店内にはふわりとお茶の香りが漂い、あたたかで優しい空気に包まれました。

数年前からお茶を淹れて飲むことが好きになったという道一さんと知子さん。
きっかけはあるお店からの、中国茶を淹れる茶道具を作って欲しいというリクエストだったそう。
「その時はまだ今ほど中国茶や台湾茶などといったものも日本には定着していなくて。自分たちも作ったことが無かったけれど、それ以降お茶を毎日飲むようになり、すっかり生活の一部になってしまいました。」
と話されます。
今回はそんなお茶周りの道具もたくさん用意してくださっています。


お茶を淹れたり、涼を感じたり、季節の花を生けたり。
日々の生活にふと彩を添えてくれることの喜びを、お二人の作品は自然に与えくれるようです。
道一さん、知子さん、それぞれの自然が育む豊かな景色が垣間見えるような、大らかで美しい作品たちをこの機会に是非ご覧ください。
オンラインショップでも順次作品をご紹介しております。
そちらもどうぞお楽しみに。
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白磁や織部、釉薬の土もの、薪窯による表情豊かで力強い作品を生み出す境道一さんと知子さん。
コホロ淀屋橋で約2年ぶりとなる作品展を開催します。

色鮮やかな夏の食材や料理に負けない存在感のある二人の作品。
今回「涼を呼ぶ、夏のごはんと器」をテーマに、ワンプレートやオーバル皿、冷たい麺の鉢など、夏の食卓を彩る器を境さんにお願いしました。

つくることへの喜びに溢れ、日々制作へと向き合う境さん夫婦。
いつも展示に向けて、土瓶や急須などのお茶の器、花器に壷など、
種類も様々に届けてくださるので、楽しみにご来店ください。

初日は道一さんがお茶を淹れて下さいます。
お茶と共に、ゆっくりと店内でお過ごしください。

2023年の作品展はこちら≫
2022年の作品展はこちら≫


「境道一・境知子 展」
2024.7.19(金)ー29(月)
作家在廊:19(金)
定休日:23(火)
コホロ淀屋橋
11:00-18:00